鳥とめもないメモ帳

3歩歩いても忘れないために

「イリュージョン」(リチャード・バック)を読んで

リチャード・バックの「イリュージョン」を読んだ。絶対読むべき名著100選みたいなのに入っていたから。

イリュージョン (集英社文庫)

イリュージョン (集英社文庫)

自己啓発書は嫌いだ

まず最初に断っておきたいことがある。僕は自己啓発書は嫌いだ。より厳密に言えば、それを使って金儲けしようとしている安っぽい自己啓発が嫌いだ。自己啓発や、そこで謳われていること自体は否定しない。僕もポジティブシンキングがしたいし、引き寄せの法則はあながちウソではないと思っている。しかし、それで安易に金儲けしようとしたり、非科学的な宗教団体じみたものを作って、頭が凝り固まってしまった人たち(自己啓発の真逆なんだけどなぜかそれに気づいていない人たち)が嫌いだ。とりあえず、そういう人たちには、デール・カーネギーでも読んどけという気持ちだ(彼もセミナーでぼろ儲けした人だが)。それを読むとわかるのは、今も昔も人の本性なんてのは何も変わってないということ。きっと紀元前4000年のエジプト人ですら、我々と同じように悩み、踊らされ、病んだのだ。
そう考えると、この小説は世間で言われているような自己啓発の側面を確かに持っているが、それ以上に人間の本質を平易な文章で表現した傑作のように思えた。

感情と切り離す

リチャード・バック本人もまた、自己啓発沼にはまった1人らしい。もうそれだけで、僕にとっては拒絶反応が出てしまう。しかし、この小説の内容は悪くなかった。むしろ好きな部類だ。もしかすると、これは同族嫌悪なのかもしれないとすら思う。だから僕は、感情と切り離して、この小説のことを考えた。考えた結果、僕はこれを傑作だと思った。同時にとても危ない麻薬のようなものにと思えた。正直、筆者の言いたいことは未だに掴みきれなかった。わからない。故に魅力的だ。こんなに心を動かされる、それ自体がとても怖い力を持った小説だなと思った。
ぜひ読んで欲しいけれど、強い意志を持って読んで欲しい。これを読んで似たようなセミナーに行ってはならない。それこそ、この小説における群衆そのものになってしまう。きっとこの小説は、そうならないためにあるのだ。

イリュージョン (集英社文庫)

イリュージョン (集英社文庫)

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