鳥とめもないメモ帳

3歩歩いても忘れないために

「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」を読んで

先日読んだ、『「学力」の経済学』の中でチラッと紹介されていたので読んでみた。そのとっつきやすいタイトルとは裏腹に、非常に興味深い学問の世界を、面白く紹介する本だった(もちろん読みやすい本ではある)。

ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

 

 

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興味深い実験の数々

この本は最初から最後まで興味深い実験がたくさん出てくる。そしてその結果は、予想通りのこともあれば、予想とは違うこともある(否、正直に言えばどの結果も僕は予想できいなかっただろうが……文庫版p178に書かれているように)。この本から、直接に今の社会問題の解決策を得ることはできない。しかし、それを考えるための興味深いデータを示してくれている。どの実験も面白く、僕はこの本を買ったその日に読破してしまったほどだ。そしてその勢いでこの感想文を書いている。だから、少しだけ筆者の口調がうつっている。

自分の知らない自分

そしてこの本を読んで分かることのひとつが、おそらく僕らは全く自分自身のこと(自分自身がずるをするであろう度合い)を正確には知らないということだ。逆に言えば、知ったからには、それを自らの行動に反省的に取り入れることができる。たとえば、精神を消耗していればずるをしやすくなる、ということは、消耗していない時間帯(午前中)に真面目に取り組まなければいけないこと(確定申告の計算だとか)に取り組むべきということだ。また、そうすることで、無自覚的にずるをする確率を下げることができる。他にも、意識すればずるをしにくくなるといった話も、データとエピソードで語られる。僕たちは、ずるを減らすためには、どうすれば意識できるか、意識させられるかを考えればいいわけだ。現実世界に応用できるヒントはたくさん転がっている。

社会科学の面白さ

この本はずるという側面から、人間の行動の傾向を、実験でもって明らかにしている。実際に実験をした人がその実験について語っているので、他人の実験を引用している本とは違う面白さがここにはある。途中、文庫版p106では、主観で外れ値を取り除くというずるにうっかり手を染めそうになるエピソードまである。そういった側面からも、これほど面白い社会科学の実験の本はなかったように思う。きっと、中高生にとっては、社会科学が何かを知るいいきっかけになるだろう。できれば僕が中高生の頃に読みたかったとさえ思った。それぐらい、面白くてオススメできる本だった。

 

 

ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

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